アネモマスター/クリモマスター風速計の風速測定原理
風速センサーを加熱し、このセンサーに風を当てると、熱が奪われてセンサーの温度が変わります。それに伴ってセンサーの抵抗値も変化します。この抵抗値の変化は、風速が早ければ早いほど大きく変化します。したがって、風速と抵抗値の関係が分かっていれば、抵抗値(または電流)を測定することによって、風速値を知ることができます。
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図.1 風速値と電流の関係 |
アネモマスター風速計は、この原理を利用したものです。
一般に、熱式風速計では風速素子が常に一定温度になるよう、フィードバック回路を用いて制御されています(定温度型)。つまり、風速素子は常に一定温度になっており、この温度は風速の高低によって変化することはありません。しかし、風速の高低に応じて風速素子から奪われる熱量(放散熱量)は変化しますので、それを補うようにセンサーに電流が流れるようになっています。この電流の量(i)から風速値を知ることができます。
風速センサーから奪い取られる放散熱量(Q
H)は、次式で表されます。
Q
H=(a+b√U)×(T- T
a)・・・・・・・・(Kingの式)
Q
H:放散熱量
U:風速値
T
a:周囲流体の温度
T:熱線(風速素子)の表面温度
a、b:流体および熱線の形状により決まる定数
また、放散熱量(Q
H)は、素子の抵抗(R)と流れる電流(i)から次式で表すことができます。
H=RI
2
※Rは一定温度に保っているため、風速の高低に関係なく一定となります。
したがって、
H=RI
2∝a+b√U
となります。この式からも分かるように、風速Uの変化を、素子に流れる電流iの変化として捉えることができます。
●温度補償
風温が変化した場合、同じ風速でも熱放散量が異なるため、計測値が変化してしまいます。当社の風速計は、風温が変化しても正しい風速が計測できるよう温度補償回路を設けています。これはブリッジのもう一辺に風速と同じ温度係数を持つ測温素子(Rc)を配置して、風温との温度差(T-T
a)を一定に保つようブリッジを調整し、風温変化による誤差を少なくしています。
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図.2 温度補償の効果 |
図.3 風速検出回路 |
関連ページリンク
・
その他の風速測定方式について([1] アネモマスター風速計の特長について)
・
熱式風速計の原理について([13] アネモマスター風速計の動作原理について)
・
風速計ラインアップ