熱線流速計とは、流体速度を測定する装置であり、加熱された金属細線から、周囲の流体に伝達される熱量が流体の速度に依存する現象を利用しています。
熱応答性の高い小さな細線をセンサとすることで、変動する速度に対し高い応答性を保ちながら連続的な電気信号を得る事ができるため、流れの乱れ計測に最適の測定器です。
本機器を用いる事により、瞬時速度変動の計測や周波数分析を行う事が可能となります。 |
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特徴
●乱流強度や乱流周波数計測のマザーツール
●加熱センサの熱放散を利用した接触型の速度計測装置
●センサが極めて小さく点測定が可能で、応答性が高い
●プローブを移動させることにより、流れ場の流速分布を測定することが可能
●連続したアナログ電気信号として速度データが得られる
計測原理
流体中に熱線(加熱された抵抗線)をおくと、放散によって熱エネルギーが奪われ、熱線の温度が下がると共に電気抵抗値が
変化します。流れが速ければ冷却はさらに早められます。このときの流速と放散熱量の関係は「KINGの法則」として知られ、
熱量を電圧で表すと、次式で表されます。
抵抗線(熱線)の加熱および制御方式は定電流型と定温度型の二つに大別されますが、流速計には、通常、定温度型が用いられます。
■定温度型熱線流速計回路
定温度型熱線流速計は、図のようなブリッジと増幅器からなるフィードバック回路では、常にブリッジが平衡状態になるように制御がかかっています。
ここで、設定抵抗R0をセンサ抵抗(Hot-Wire)より大きくすると、センサに電流Ⅰが流れ、加熱されてセンサ抵抗が大きくなり、設定抵抗と同じになるように動作します。この加熱されたセンサに風が当たると冷却されて温度が下がりますが、常にセンサを一定温度に保つために電流が変化します。この電流を測定することにより流速および変動分を検出することが出来ます。
計測結果例(ファンの吐出風計測)
■計測画像
■計測結果データ
ファン回転数:低
ファン回転数:高
アプリケーション事例
◆風洞実験での乱流計測
・建物や翼などの模型後流の計測
・境界層近傍の計測
・地形モデルに対する乱流計測 他
◆空力騒音解析
・列車パンタグラフ近傍での流体騒音計測
・ドアミラー近傍での流体騒音計測 他
◆機器内冷却ファン風の乱流計測
・ファンの効率評価
・ファン風流れの周波数分析 他
◆流れと音の相関計測
・音響装置による気流の振動流速
・口腔内の歯形状と発生音の関係 他
製品情報