【4】相対粉じん濃度計について

フィルター秤量法(重量法)による粉じん濃度測定は、吸引時間が数時間に亘ることが多く、リアルタムに粉じんの濃度を知ることができない欠点があります。そこで、短時間に粉じんの質量濃度を測定することができる相対濃度計が、現在、有効に使用されています。この相対濃度計とフィルター秤量法とを、対象環境中で同時に並行測定することで、両者の計測結果から、相対濃度計の計測値を質量濃度に変換する質量濃度変換係数を得ることができます。この質量濃度変換係数を相対濃度指示に乗じることで、粉じんの質量濃度を間接的に測定することができます。
 
相対濃度とは、粉じんの絶対濃度(質量濃度や個数濃度)と1:1の関係にある物理量をいいます。粉じんの場合、絶対濃度のみならず、粒径分布、比重、光学的性質、形態の関数が含まれています。相対濃度計には、光散乱方式のもの、光吸収(または光透過)方式のものおよび圧電天びん方式のものがあります。表.1に光散乱式粉じん計を使用した測定結果例を示します。

表.1 光散乱式粉じん計とフィルター秤量法との同時計測した例
作業場名 C (mg/m3) R(cpm) C/C  (
金属研削 5.80 110 53
鋳型ばらし 10.50 131 8.0
鋳鉄鋳込み 0.66 30 2.2
溶接 18.5 590 3.1
焼結 86.1 359 23.6
高炉の原料貯槽の取出口 34.4 136 25.3
コークス槽の取出口 12.6 56 22.5
 
*C'は、0.3 μmのステアリン酸粒子の環気中濃度が0.01 mg/m3である場合に、1 cpmになるように調整されたデジタル粉じん計を用いて、次式によって求めた値です。
 
  C'=( mg/m3)×cpm
 
例えば、溶接ヒュームに対する質量濃度変換係数は、3前後の値を示しますが、粗大粒子の多い粉砕作業場などの質量濃度変換係数は、20を越える場合があります(上表参照)。
これは、光散乱方式が測定粒子の散乱光強度を信号としているため、同一濃度の粒子であっても粒径、色、形状によって散乱光強度が異なるためです。基本的な原理に起因しているため、重量濃度を求めるには、測定点毎にフィルター秤量法(例えばローボリュームサンプラを使用した測定)による同時測定によって、係数を求める必要があります。
 

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