各種のエアロゾル粒子(浮遊粉じん)の測定は、その測定目的によって種々の物理的原理の異なる方法を用いて行なわれています。測定目的に応じ、原理的に最も適するものを選択することが必要です。以下、代表的な測定法を紹介します。
顕微鏡法
浮遊粉じんを捕集した後に標体化して、顕微鏡で粒子の形状や大きさを、長さの次元で直接的に測定し得る唯一の方法です。粒子の形状や表面状態を同時に測定できる大きな特長を持ちますが、多大な労力も必要となります。
重量法
ろ紙などによって浮遊粉じんを完全捕集して、その質量を天びんでひょう量する方法です。
粉じんの質量(重量)濃度の測定法としては、最も直接的な方法です。天びんの感度(下限計量値)とろ材質量によって決まる可測濃度の下限値が比較的高い、つまり、粉じんの捕集量が少ないと、捕集した粉じんの質量が測定できないため、低濃度環境では、評価できる質量の粉じんを捕集するまでに長い時間を必要とします。
慣性法
ノズルなどを用いて空気流を加速させ、慣性力によって流線からずれた粒子を、衝突盤に衝突付着させる方法です。ノズルの口径、ノズルから空気を噴出する流速およびノズルから衝突盤までの距離で、衝突盤に衝突付着する粒子の大きさが決まります。その粒子の大きさは、実態の大きさではなく、ストークス径(空気動力学的な径)として表されます。いくつかの幾何学的条件(ノズル径)の異なるプレートを用意することで 粉じん粒子の粒度測定が可能となります。アンダーセンサンプラーは、この方式で0.45~10 μm以下の粒子を8段に分けて、粒子径ごとの濃度測定を可能にしております。
静電荷法
浮遊微小粒子を荷電し、その荷電粒子の荷電量あるいは静電場での沈降速度(電気移動度)を測定して、粒子の大きさを知る方法です。計測量が電気量であることから、測定が自動的で、データの処理が簡単であるという優れた特長をもち、サブミクロン以下の微小粒子の測定にはきわめて効果的な方法です。しかし、慣性力に依存する1 μm以上の粒子の測定には不向きな方法です。
拡散法
空気中に浮遊する微小粒子が、気体分子との衝突により進行方向が変わる(ブラウン運動)ことによる拡散現象を利用した測定法です。静電荷法よりもさらに小さい0.3 μm以下の粒径に対して有効です。粒子を含む気体を狭い平板間などに通過させると、慣性力が小さくブラウン運動支配される0.3 μm以下の粒子は、気体分子と衝突し、気体の流れとは異なる方向に飛ばされることにより、壁面に粒子が付着します。この特性を利用して、メッシュを多段に配列し、各段の粒子の付着から粒径分布をもとめることができます。
光散乱および光透過法
光路を粒子などが横切るときに光が散乱されます。(例えば、雲が白く見えるのも、太陽光が散乱された結果です。)この現象を光散乱と呼び、光散乱は、粒子の大きさや形状、色、濃度によりその強さが変わります。この現象を利用して空気中の浮遊粉じんを測定する方法を、光散乱式と呼びます。また、光を吸収する物質などに光を照射し、その透過量を測定して、空気中に浮遊する粒子濃度を測定する方法を、光透過法と呼びます。これらの測定方法は重量法などと比較して値付けが必要となります。よって、相対濃度計とよばれます。