【20】空気以外の気体中での測定について

空気以外の混合気体中で風速を測定するときは、風速指示値を補正する必要があります。
 
風速指示値を補正する理由
熱式風速計の風速センサーは加熱されており、センサーに風が当たるとこの熱が奪われます。熱式風速計は、この奪われる熱量(放散熱量)と風速値との関係を利用して、風速値を指示します。
測定対象となる気体が校正時の気体(すなわち空気)と異なる場合、同じ風速でも放散熱量が異なるため、熱式風速計の指示風速は変わってしまいます。熱式風速計は常温、常圧の空気流で校正していますので、空気以外の混合気体の風速を熱式風速計で測定する場合、指示値の補正が必要です。
 
風速補正計算方法
加熱されている風速素子の放散熱量は、気体の物性値によって大きく影響を受けます。
一般に、空気の成分は窒素(N)、酸素(O2)が約7:3で構成されており、一酸化炭素(CO)、二酸化炭素(CO2)などをわずかに含んでいます。気体の物性値(以下の値)が変化すると、放散熱量が大きく変化して風速指示値に大きく影響を与えます。
 
表.1 風速値に影響する物性値
物性名 単位
粘性係数 kg/m2
密度 kg/m3
比熱 kcal/kg℃
熱伝導率 kcal/mh℃
 
補正は、通常の空気とは成分が異なる気体(混合ガス)の放散熱量を各物性値から計算し、その比較から真の風速値を計算します。放散熱量は次式で示されます。
放散熱量QH=NuπλL(T-Ta)(kcal/h)
Nu:ヌッセルト数
π:円周率
λ:熱伝導率(kcal/mh℃)
L:円柱(風速素子)の長さ(m)
T:加熱体温度(℃)
Ta:気体の温度(℃)
 
この放散熱量を計算するには、その雰囲気の成分(混合ガス成分)が分かっている必要があります。
例)H2:0.0%   N2:73.5%
O2:3.7%   CO2:11.7%
CO:0.0%   H2O:11.1%
混合ガス中での測定における風速補正値の計算方法の詳細につきましては、直接お問い合わせください。詳細な資料をご用意しております。
図 混合ガスの風速補正計算フロー



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