【14】プローブの互換性について

風速素子の抵抗値・温度係数の特性は、素子や途中のリード線、接触抵抗などの物質的特性に依存するため、プローブ一本一本毎に出力特性および温度補償特性が異なります。物質的特性に依存するため、通常は、本体とプローブは一対であり、プローブ間の互換性がありません。別のプローブ(予備のプローブ)を使用する場合やプローブが故障して交換した場合は、本体と一緒に校正しなければなりません。校正作業なしで、どのプローブでも接続できるプローブ互換を達成するには、基本的には出力特性を同じにすることが必要です。
特性が変化する要因に、次のものがあります。
●風速素子および温度補償素子材料の物質的安定性や抵抗値および温度係数
●風速素子および温度補償素子を保護するコーティング膜の均一性
●リード線の抵抗
●各接続部の接触抵抗値の精度および温度係数
●ブリッジの抵抗値の精度や温度係数
これらの要因をどのプローブでも同じにすることができれば、完全互換も可能であると考えられます。完全互換を実現できれば、風洞での校正作業が省かれ、電気的調整のみで校正が不要になる可能性があります。しかし、これを実現することは非常に難しいといわれています。したがって、正しい計測結果を得ていただくためには、風洞での校正は必須となります。
 
現在のカノマックス製品の互換性は?
当社には、ある程度ブリッジ出力特性を揃えた『プローブ互換タイプ』と、出力電圧の特性を書き込んだROMを使用した『ROM互換タイプ』があります。

①プローブ互換タイプ(特性整合型)
プローブ互換タイプ(特性整合型)とは、どの本体にどのプローブを取り付けても、同じ精度が得られます。当社の風速計ではModel 6312がこのプローブ互換タイプです。しかし、ブリッジ出力特性に若干のばらつきがあるため、本体調整を必要とするタイプに比べて、若干精度が低下します。

②ROM互換タイプ
ROM互換タイプとは、特性データを書き込んだROMを本体に取り付け、プローブとROMを一対としている構成で、プローブとROMを同時に交換すれば本体の調整を必要としないタイプです。多点式風速計やModel 6112・6113・6114・6115・6162・6332・6332Dがこの機能を有しております。

③プローブ互換タイプ(ROM格納型)
プローブ互換タイプ(ROM格納型)とは、ROM互換タイプを進化させ、特性データを記録するROMを小型化し、プローブ内に収納したタイプです。測定精度に影響が無く、プローブ交換を可能としたタイプです。Model 6531-21・6541-21・6551-21・6561-21・6552-21・6533-21・6543-21・6531・6533・6541・6542・6543・6551・6552・6561(グリップ部に収納)、6001・6002・6003・6004・6006(コネクター部に収納)です。これらはプローブを交換するだけで測定が行え、本体の調整は必要ありません。
 
関連ページリンク
熱式風速計の原理について([7] アネモマスター風速計の動作原理について)

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