【11】分粒装置の特性について

空気中に浮遊する粉じんには、様々な大きさの粉じんがあります。その粉じんのうち、10 µm 以下の粉じん(吸入性粉じん)は健康に影響するため、その濃度を管理することが、ビル管理法や労働安全衛生法などで義務づけられています。吸入性粉じんだけの濃度を管理するためには、採取する浮遊粉じんの大きさを10 µm 以下にする必要があります。このように、粉じんの大きさを分ける装置を分粒または分級装置といいます。ここでは統一して分粒装置と呼びます。
 
粉じんの測定
粉じん濃度測定には、主に次の2つの方法があります。
●重量法(フィルター秤量法)
 重量法(フィルター秤量法)は、空気中に浮遊する粉じんをフィルターに捕集し、粉じん濃度を測定します。この方法による粉じん濃度の測定は、フィルターに捕集された粉じんの質量(捕集前後でのフィルターの質量変化)△M(mg)と、そのフィルターを通過する空気流量Q(m3/s)および捕集時間t(s)から、粉じん濃度Cを求めることができます。
 
C=△M/(Q×t)(mg/m3
 
ビル管理法および労働安全衛生法による粉じん濃度の測定は、重量法(技術資料[3]エアロゾルの測定法参照)を基本法としており、対象となる粒子の大きさは10 µm 以下の吸入性粉じんとなり、捕集装置の上流側に10 µm 以上の粒子を通過させない分粒装置を設けます。
 
●相対濃度法
相対濃度法は、相対濃度計である粉じん計を使用して、空気中に浮遊する粉じん濃度を測定します。相対濃度計は、測定する対象粉じんにより感度が変わることから、重量法と同時に測定(併行測定)を行い、資料濃度換算係数(K値)を求める必要があります。このK値を、粉じん計の測定値に係数を乗じることで、粉じん濃度を求めことができます。対象となる粒子の大きさは10 µm 以下の吸入性粉じんとなり、捕集装置の上流側に10 µm 以上の粒子を通過させない分粒装置を設けます。
 
測定対象粉じんの粒径
空気中に浮遊している粒子状物質のうち、捕集の対象となる大きさの粒子は、じん肺等の人体に影響を及ぼすとされる肺胞まで到達する粒子(吸入性粉じん)です。
ビル管理法では、測定対象の浮遊粉じんの粒径を、おおよそ10 μm以下としています。労働安全衛生法(作業環境測定基準)では、測定対象の浮遊粉じんの粒径を4 μm 50%の分粒特性を持つ分粒装置で捕集したものとしています。大気汚染防止法では、大気中の粒子状物質は「降下ばいじん」と「浮遊粉じん」に大別され、更に浮遊粉じんは、粒径10 μm以下の浮遊粒子状物質と、それ以外に区別されています。環境基準が定められているのは、10 μm以下の浮遊粒子状物質です。


分粒装置
前述のような測定対象粒子(吸入性粉じん)をフィルターに捕集するために、粗大粒子をあらかじめ除去する分粒装置が必要です。分粒装置には、重力沈降を利用した多段型分粒装置、遠心力を利用したサイクロン式分粒装置、慣性力を利用した慣性衝突式分粒装置(インパクター)があります。重量法において、国内で多く使用されているのが多段式分粒装置です。また、粉じん計にはインパクターが多く使用されています。これらの分粒装置の分粒特性(カット径)は通常、10 μm 100%cutや4 μm 50%cutと表されます。または、透過率で表すと10%cutは透過率0.9、100%cutは透過率0と表されます。これ以外に、10 μm 50%cutを表すPM10や、2.5 μm 50%cutを表すPM2.5という表記もあります。例えば「10 μm 50%cutまたはPM10」とは、空気中に含まれる粉じんが比重1で粒径が10 μmだけであるとした場合、これらの粉じんのうち半分の粒子がフィルターに捕集され、半分の粒子が分粒装置で除外されることになります。現在、国内で使用されている分粒装置の特性は、7.07 μm 50%cut、5 μm 50%cut、4 μm 50%cut、2.5 μm 50%cut等があります。
 
 
粉じん計のインパクター
粉じん計は、粉じんが含まれた空気を吸引してから検出部に導いて粉じんを検出し、粉じん濃度(mg/m3)を数値化するものです。(詳しくは粉じん計の原理をご参照ください。)
多くの粉じん計には、吸入口にインパクターやサイクロンといった小型の分粒装置が取り付けてあり、多く採用されているのがインパクターです。この分粒装置によって、粉じん計の光学系に任意の粒径以下の粉じんを導くことができ、7.07 μm 50%cut、5 μm 50%cut、4 μm 50%cut等の分粒を行えます。