【11】測定環境と風速指示値の関係について

温度・湿度・圧力などの測定環境の変化は、風速指示値に影響を与えます。各誤差については、下記をご参照願います。これらの変化量に対する補正が必要です。
 
室温の変化に対する風速指示値の補正について
当社の風速計は熱線式風速計で、熱放散量を利用して風速を測定しています。もし、温度補償がされていないと、測定環境温度によって熱放散量が変化してしまい、同じ風速でも環境の温度によって測定値が異なってしまいます。これを防ぐため、当社の風速計では風温も同時に測定し、補正しています(温度補償)。したがって、温度補償範囲内であれば、室温の変化に対して風速指示値を補正する必要はありません。もし温度補償がされていなければ、室温が1%変化すると風速値には数%(3~5%)の誤差が生じます。
 
湿度補正の必要について
相対湿度の変化は、アネモマスター風速計の指示値にはそれほど大きな影響を与えません。理論計算(空気密度:熱放散への影響)では、相対湿度が55%~85%RHに変化しても、風速計の指示値では0.1%の変化にしかなりません。
 
密度補正・圧力補正について
密度ρ(density)は、単位体積の流体の質量として定義されます。熱式風速計は、放散熱量を風速値に換算する原理を用いています。放散熱量は下の式で表されます。
 
 放散熱量QH=NuπλL(T-Ta)(kcal/h)
 Nu:ヌッセルト数
 π:円周率
 λ:熱伝導率(kcal / mh℃)
 L:円柱(風速素子)の長さ(m)
 T:加熱体温度(℃)
 Ta:気体の温度(℃)
 
上の式のNuは密度に影響するので、これを補正する必要があります。
Nuと空気密度ρの関係式を展開すると、
 空気密度ρ=1.2931×273.15/(273.15+t)×(P-0.378×H×Pw)/1.013×10
  1.2931:0℃標準状態での空気密度 (kg/m3
  t:空気温度(℃)
  P:大気圧(Pa)
  H:相対湿度(%RH)
  Pw:t℃における飽和水蒸気圧(Pa)
 
空気密度は、上の式のように温度と圧力との関係式で表されます。当社の風速計では、温度については温度補償がされていますが、圧力については補正が必要になります。
上の空気密度の式からHとPwを無視すると、P/(1.013×105)の割合で空気密度が圧力によって変化することが分かります。したがって、大気圧に対する補正は下の式のようになります。
 
 Um=Uc×1.013×10/Pm
  Um:真の風速値(m/s)
  Uc:指示風速値(m/s)
  Pm:測定時の圧力(Pa)