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ピエゾバランス式粉じん計
 
        
  大気中に含まれる浮遊粒子状物質の標準測定には浮遊粒子物質の質量(質量濃度)で行われています。標準法とされている測定方法はフィルタ秤量法ですが、その測定方法ではサンプリング、秤量を行う上で種々の誤差要因があり、測定に熟練を要し、かつサンプリングに長時間を要する等の問題点があります。
これらの測定上の問題を解決して開発されたのがピエゾバランス法(圧電天秤法)による粉じん計です。
ピエゾバランス粉じん計の最大の特長は、短時間の測定を行なえるので、サンプリング時間の長いローボリウムエアサンプラでは不可能であった粉じん濃度の変動にも正確に追従し、リアルタイムに定量化できる点、さらに粉じんの物性に影響されないため、事前に粉じんの性質が了知しなくても、ただちに正確な測定が行え、粉じん質量濃度が直接デジタル表示で測定出来ます。
ピエゾバランス式粉じん計
【動作原理】
ピエゾバランスはピエゾ(電圧効果、逆電圧効果)、バランス(天秤)を合わせた言葉で、天秤の上に粉じんを静電捕集することにより、空気中の粉じん濃度を求めるものです。
下に構造図を示します。
ピエゾバランス式粉じん計原理図


 エアロゾルはインパクタ部のエアロゾル入口より本器内に入ります。エアロゾル中の一定粒径以上の空気動力学的粒子径を有する粒子はインパクタ内の衝突坂上に衝突し、そこで重力や再飛散がなければその衝突板上に残ります。
インパクタを通過した粒子は、静電捕集器内に入った後、コロナ放電電極に沿って流れ、ノズルを通りコロナ放電の強い電界中に入ります。
コロナ放電電極の先から圧電結晶素子(クリスタル、結晶素子)表面の電極に向かって流れるコロナ電流によりエアロゾル中の粒子が荷電され、その電界により圧電結晶素子電極上に静電的に捕集されます。コロナ電流は常に数μA程度のー定値に制御されています。
圧電結晶素子のは、両電極を発振器、周波数混合器及び指示回路に接続されており、一定の電圧を加えることにより固有の振動を発します。
圧電結晶素子上に捕集された粉じん質量による固有振動数からのずれ、すなわち周波数の変化量(Hz)と捕集粉じん量の比例関係から圧電結晶素子上に捕集された粉じん質量が求められます。
吸引空気量と圧電結晶素子上に捕集された粉じん質量(μg)からエアロゾル中の粉じん濃度(mg/m3)を求めることが出来ます。

【吸引流量】
1L/minで吸引しています。インパクターノズルの吸引口で流量を確認し、基準流量計1L/minに対して±5%以内となるようにしています。
一定の吸引流量が確保できない要因として、気密性、ポンプの破損、劣化があります。
気密性は、多くの場合圧電結晶素子部の漏れが原因となっています。ポンプは、経時的劣化によるものが多く見受けられます。

【質量と周波数の関係】
圧電結晶素子の周波数の変化量(基本周波数*に対してのずれ)と捕集される粉じん質量には2000Hz 以内の範囲で1μg/180Hz(代表値)の比例関係が成立します。
*完全なクリーニング終了後に、圧電結晶素子上に粉じんが無い状態での固有振動数


周波数と集じん量の関係
【質量濃度と周波数の関係】
周波数の変化量と粉じんの質量濃度との関係で示すと0.5(mg/m3)/180Hz(代表値)となります。この場合2分間の測定を行いますので吸引量は2Lです。周波数の変化量から粉じん濃度を求める際には、吸引流量、帯電効率、捕集効率、捕集量、温度、湿度、測定対象粉じんの物性の要因の影響を受けます。個々のピエゾバランス粉じん計は、校正によって種々の影響を総合的に補正する係数が与えられますので、質量濃度と周波数の変化量の関係式はそれぞれ若干異なります。
周波数と粉じん濃度の関係
粉じん濃度計算式
【測定範囲】
 前述のように、周波数の変化量2000Hzの範囲で粉じんの質量濃度との比例関係が成立しますので、2000Hzの変化に対する粉じん濃度は5.5mg/m3となりこれが測定範囲となります。

【クリーニング】
圧電結晶素子に捕集される粉じんの質量には限界があります。比例関係を越えた場合、圧電結晶素子上の粉じんを除去なければなりません。そのため、簡単に操作できるクリーニング機構を備えています。ピエゾバランス粉じん計には2つのモデルがあり、クリーニング機構が異なっています。

【K値】質量濃度変換係数
ピエゾバランス法は粒子径や色等による差はなく、光散乱方式に比べれば、標準測定法との差が少なく、大気中の浮遊粒子状物質では常に1:1で測定できます。
水晶面上に粉じんが均一に捕集された場合には、理論や蒸着膜の場合に認められるような周波数の変化量と粉じんの量とが1:1の対応を示しますが、均一に捕集されない場合には、1:1の対応を示さないことがあります。均一に粉じんを水晶坂上へ付着させるため、電気集じん法が用いられていますが、粒径の大きな粉じん粒子は慣性効果によって水晶坂上の中央部に捕集されるので水晶面上に捕集された粉じんの質量に対する周波数の変化量が大きくなり質量濃度を高く評価します。また綿のような空隙の多い状態で捕集された場合には、逆に水晶面上に捕集された粉じんの質量が多いにも関わらず周波数の変化量が少なく、質量濃度を低く評価する傾向があります。
例として、ローボリウムエアサンプラーによる標準測定法とピエゾバランス法での併行測定を行った場合のK値を示します。

作業場名

標準測定質量濃度

C (mgm3)

ピエゾ法濃度

R (mgm3)

K値

CR

溶接

5.3

4.4

1.2

溶接

2.2

2.4

0.92

ガラス原料調合

8.9

3.3

2.7

ガラス原料溶解

0.75

0.18

1.2

金属研削

0.37

0.11

3.1

鋳鉄ばらし

0.67

0.16

4.2

鋳鉄鋳込み

0.85

0.33

2.6

鋳鉄鋳込み

1.17

0.40

2.8

    標準測定質量濃度とピエゾバランス法濃度との関係(例)

【インパクター】
 測定対象となる粒子径の粉じんを選択的に分けて本体内に吸引するため、吸入部にインパクターが取り付けられています。インパクター部はインパクターボディとインパクターノズルで構成され、インパクターノズルを交換することにより、分ける粒子径を変える事が出来ます。
インパクターノズルの種類:10μm98%cut、7.07μm98%cut、4μm50%cut
*インパクター原理についてはこちらを参照してください。

分粒特性
MODEL3521の分粒特性


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